場合の数や確率を得意にしよう!解き方のコツは『パターンを知ること』
場合の数を苦手にしている方へ
数学は得意でも場合の数や確立といった数Aの分野を苦手としている人は多い。
おそらくその人が抱いている感情は、「自分には国語力や理解力というのが弱い。。」というものがあるかもしれない。
結論から言うと、それは間違っている。
大事なのは『パターンを知ること』
場合の数や確率なんてものは、数ⅡBや数ⅢCに比べたら圧倒的にパターンが少ない。
パターンゲーです
私が提示する
『場合の数』9問、『確率』9問をこなせば得意分野になると思う。
繰り返して解いてみよう。
まずは場合の数の問題を紹介しようと思う
『場合の数』pick up問題一覧
とりあえず今回紹介するする問題を羅列してみる。
のちに一問一問解説とともに問題も提示するので、ここは軽く読み飛ばしてもかまわない。
【1-1】
全体集合Uの要素の個数を100とし、その部分集合A,Bの要素の個数をそれぞれ83、71とする。このとき、AとBの両方に属する要素の個数は最も少なくて(①)個。Aに属するがBに属さない要素の個数は最も少なくて(②)個、最も多くて(③)個。また、Aに属するがBに属さない要素の個数が(④)個のときは、Bに属するがAに属さない要素の個数は7個 (08 法政大)
【1-2】
0,1,2,3,4の中の異なる4つの数字を並べて作られた4桁の整数a1、a2、a3、a4を考える。このような4桁の整数a1、a2、a3、a4に対して、a1+a2,a2+a3,a3+a4のうち最大のものをMとする。例えば4桁の整数1304に対してはa1+a2=4,a2+a3=3,a3+a4=4なのでM=4である。
(1)このような4桁の整数a1a2a3a4は全部で(①)個あり、このうち偶数は(②)個、3の倍数は(③)個ある。
(2)Mのとりうる値の範囲は(④)≦M≦(⑤)である。
このような4桁の整数のうちで、M=(④)となるものは(⑥)個、M=(⑤)となるのは(⑦)個、M=5となるのは(⑧)個ある。
(08 上智大)
【1-3】
a,b,cを整数とするとき、次の問いに答えよ。
(1)a+b+c=10,a≧1,b≧1,c≧1を満たす整数a,b,cの組の総数を求めよ
(2)a+b+c≦10,a≧1,b≧1,c≧1を満たす整数a,b,cの組の総数を求めよ
(3)a+b+c≦10,7≧a≧1,7≧b≧1,7≧c≧1を満たす整数a,b,cの組の総数を求めよ
(12 東京理科大)
【1-4】
(1)2008はちょうど3種類の数字を用いて表せる4桁の自然数である。このようにちょうど3種類の数字を用いて表せる4桁の自然数は全部で(①)個ある。
(2)2008は各位の数字の和が10になる4桁の自然数である。このように各位の数字の和が10になる4桁の自然数は全部で(②)個ある。
(08 慶応大)
【1-5】
男子4人、女子3人、計7人の生徒がいる。
(1)7人のうち3人を選んで1列に並べた時、その並べ方は(①)通りある。また、7人のうち男子2人と女子1人を選んで1列に並べた時、その並べ方は(②)通りある。
(2)7人を1列に並べる時、女子が隣り合わない並べ方は(③)通りある。
(3)7人を輪の形に並べる時、女子3人のうち、女子2人だけが隣り合う並べ方は(④)通りある。
(09 九州産大)
【1-6】
何人かの人をグループに分ける場合の数を考える。ただし、どのグループにも少なくとも1人は入るものとする。
(1)5人を3つのグループに分ける場合の数は(①)通りである。
(2)6人を3人ずつの2つのグループに分ける場合の数は(②)通りである。
(3)9人を3人ずつの3つのグループに分ける場合の数は(③)通りである。
(4)男子5人、女子4人の合計9人を3人ずつの3つのグループに分ける場合の数は(④)通りである。ただし、どのグループにも男子と女子が含まれているものとする。
(10 関西大)
演習問題
【1-1】機械的に解くことのできる典型的な問題
【1-1】
全体集合Uの要素の個数を100とし、その部分集合A,Bの要素の個数をそれぞれ83、71とする。
このとき、AとBの両方に属する要素の個数は最も少なくて(①)個。
Aに属するがBに属さない要素の個数は最も少なくて(②)個、最も多くて(③)個。
また、Aに属するがBに属さない要素の個数が(④)個のときは、Bに属するがAに属さない要素の個数は7個。
【1-1解答】
集合Xの要素の個数をn(x)とする。
機械的に解くために自分で定義してしまおう
『個数定理』
n(A U B)=n(A)+n(B)ーn(AΠB)
すると、 n(U)=100、n(A)=83、n(B)=71と書けるよね
あとは機械的に解くだけ!
n(AΠB)=n(A)+n(B)ーn(AUB)
=154-n(AUB)
≧154-100=54 (※U≧AUB)
①54
また『Aに属するがBに属さない要素の全体』は『
AとBの差集合』であるから
A-Bとすると、
n(A-B)=n(A)ーn(AΠB)
=83-n(AΠB)
①とB≧AΠB⇔n(B)≧n(AΠB)であることから
54≦n(AΠB)≦71となる。
よって、12≦n(A-B)≦29となる。
②12、③29
さらに、
n(B-A)=n(B)ーn(AΠB)
=71-n(AΠB)=7
より、n(AΠB)=64
すなわち、n(A-B)=83-64=19
④19
【1-2】組み合わせを書き出すパターンに慣れろ
【1-2】
0,1,2,3,4の中の異なる4つの数字を並べて作られた4桁の整数a1、a2、a3、a4を考える。
このような4桁の整数a1、a2、a3、a4に対して、a1+a2,a2+a3,a3+a4のうち最大のものをMとする。
例えば4桁の整数1304に対してはa1+a2=4,a2+a3=3,a3+a4=4なのでM=4である。
(1)このような4桁の整数a1a2a3a4は全部で(①)個あり、このうち偶数は(②)個、3の倍数は(③)個ある。
(2)Mのとりうる値の範囲は(④)≦M≦(⑤)である。
このような4桁の整数のうちで、M=(④)となるものは(⑥)個、M=(⑤)となるのは(⑦)個、M=5となるのは(⑧)個ある。
【1-2解答】
この手の問題はとにかく考えられるものを書き出すといい
(1)このような4桁の数は
4×₄P₃=96個 (※4はa1≠0より)
①96
このうち偶数は(a4が偶数)、
a4=0のとき ₄P₃=24こ
a4=2,4のとき 各々3×₃P₂=18こ
合計24+18×2=60こ
②60
また、3の倍数はa1+a2+a3+a4が3の倍数なので
{0,1,2,3}{0,2,3,4}
a1≠0に注意して、2×3×₃P₃=36こ
③36
(2)必要条件として3≦M≦7
(※0,1や0,2のときは他がもっと大きくなる)
④3⑤7
M=3となるのは1203,2103,3012,3021で4こ
⑥4
M=7となるのは34〇〇、〇34〇、〇〇34である。
34〇〇は₃P₂
〇34〇は、〇が1か2、〇が残り二つ
〇〇34は2×2
また、3,4を入れ替えたものも同様。
全部で2×(6+4+4)=28こ
⑦28
また、M=5となるのは背反に分割するのがポイント
(※1+4、2+3)
「1,4または4,1」のみを含むのは、
(※2,3を除く)
140〇・・・・2こ
〇140・・・・2こ
〇〇14・・・・2こ
41〇〇・・・・4こ(※2,3を除く)
〇041・・・・2こ
これら以外は、(3,2、4,1の両方入っててO.K)
23〇〇・・・・4こ
1230・・・・1こ
〇〇23・・・・3こ
32〇〇・・・・4こ
1320・・・・1こ
〇〇32・・・・3こ
これらを合計して28こ
⑧28
【1-3】丸と仕切りに置き換えて解く典型問題
【1-3】
a,b,cを整数とするとき、次の問いに答えよ。
(1)a+b+c=10,a≧1,b≧1,c≧1を満たす整数a,b,cの組の総数を求めよ
(2)a+b+c≦10,a≧1,b≧1,c≧1を満たす整数a,b,cの組の総数を求めよ
(3)a+b+c≦10,7≧a≧1,7≧b≧1,7≧c≧1を満たす整数a,b,cの組の総数を求めよ
【1-3解答】
ポイントは1対1に対応する2つの集合の要素の個数は等しいということ
よくある〇と仕切りの問題だね
(1)a+b+c=10,a≧1,b≧1,c≧1を満たす整数の組{a,b,c}を10個の〇で並べてできる9カ所の隙間から2カ所選んで、仕切りを入れるいれ方と1対1に対応
ex)
{a,b,c}={1,1,8} 〇l〇l〇〇〇〇〇〇〇〇
求める個数は₉C₂=36
(2)d=10-(a+b+c)とおくと、a+b+c+d=10{a,b,c≧1,d≧0}
これは10個の隙間に3カ所の仕切りに対応
〇。〇。〇。〇。〇。〇。〇。〇。〇。〇。
よって₁₀C₃=120こ
(3)(2)の120このうち
{a,b,c}={8,1,1}{1,8,1}{1,1,8}だけを除けばいい。
よって120-3=117こ
【1-4】整理して地道に組み合わせを考える訓練
【1-4】
(1)2008はちょうど3種類の数字を用いて表せる4桁の自然数である。
このようにちょうど3種類の数字を用いて表せる4桁の自然数は全部で(①)個ある。
(2)2008は各位の数字の和が10になる4桁の自然数である。
このように各位の数字の和が10になる4桁の自然数は全部で(②)個ある。
【1-4解答】
効率を考える。こういう問題は慣れです
(1)0の個数に着目して分類
3種類の数字を用いて、4桁の自然数のうち
0を含まないのは、9×₄C₂×₈P₂=3024
※重複するやつ(1~9)・どの場所・残り
0を1つ含む 3×9×₃C₂×8=648
0を二つ ₃C₂×₉P₂=216
合計3888個
(2)各位の数字の和が10になる4桁の自然数のうち
0を含まないのは
{1,1,1,7}{1,1,2,6}{1,1,3,5}{1,1,4,4}{1,2,2,5}{1,2,3,4}{1,3,3,3}{2,2,2,4}{2,2,3,3}
ピンクは各4こ、橙は各₄C₂=6こ、赤は4!=24こ、青は各4×3=12こ
合計4×3+6×2+24+12×3=84こ
0を1こ含むのは
{1,1,8}{1,2,7}{1,3,6}{1,4,5}{2,2,6}{2,3,5}{2,4,4}{3,3,4}
ピンクは各3こ、橙は3!=6こ
0の位置を考えて、3×(3×4+6×4)=108
0を2こ含むのは{1,9}{2,8}{3,7}{4,6}{5,5}
0の位置を考えて₃C₂(4×2+1)=27
以上より 84+108+27=219こ
【1-5】丸と仕切りの応用問題
【1-5】
男子4人、女子3人、計7人の生徒がいる。
(1)7人のうち3人を選んで1列に並べた時、その並べ方は(①)通りある。
また、7人のうち男子2人と女子1人を選んで1列に並べた時、その並べ方は(②)通りある。
(2)7人を1列に並べる時、女子が隣り合わない並べ方は(③)通りある。
(3)7人を輪の形に並べる時、女子3人のうち、女子2人だけが隣り合う並べ方は(④)通りある。
【1-5の解答】
(1)①₇P₃=210通り
②₄C₂×₃C₂×3!=108通り
(2)男子の並べ方4!通り。男子の隙間は5カ所あるので
4!×₅P₃=1440通り
(3)3人の女子のうち隣り合う2人の並べ方は₃P₂=6通り
この2人の位置を固定したとき男子4人の並べ方が4!=24通り
残りの12人の女子の並べ方が隙間の3通り。
合計 6×24×3=432通り
【1-6】組み合わせの典型問題
【1-6】
何人かの人をグループに分ける場合の数を考える。
ただし、どのグループにも少なくとも1人は入るものとする。
(1)5人を3つのグループに分ける場合の数は(①)通りである。
(2)6人を3人ずつの2つのグループに分ける場合の数は(②)通りである。
(3)9人を3人ずつの3つのグループに分ける場合の数は(③)通りである。
(4)男子5人、女子4人の合計9人を3人ずつの3つのグループに分ける場合の数は(④)通りである。
ただし、どのグループにも男子と女子が含まれているものとする。
【1-6の解答】
(1)1+1+3が₅C₃=10通り
1+2+2が5×₄C₂÷2=15通り
(※A,B,C,Dは(A,B)(C,D)の部屋が入れ替わるのはダブルカウント)
合計 25通り
(2)(1)の1+2+2と同様
同人数の2組に区別がないことから₆C₃÷2=10通り (
3)(1)(2)と同様に考えて、
₉C₃×₆C₃÷3!=280通り
(4)3つのグループとも男女を含むことから
男子5人は1+2+2とするしかない。
(1)より15通り。
これに対し、女子4人の分け方は₄C₂×2=12通り
よって15×12=180通
まとめ
【1-1】のような集合の問題は、自分で式を定義し、論理的に解くことが大事である。
たとえ答えが合っていても、メモ用紙の上でぐちゃぐちゃになっていては、問題の続きではどの数字を信用していいのかわからなくなってしまう。
ゆっくりと論理立てて解くのがポイントである。
今回一番重要なのは【1-3】である。
隙間に仕切りを入れるイメージにすりかえなければならない問題は超頻出。
是非マスターしてほしい。